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肉じゃがなるもの

先日いらっしゃったお客様に「肉じゃがはないの?」と訊かれました。お店の紹介をしてくれたあるサイトに、「ワンランク上の家庭料理」という記載があり、ならばおそらく「肉じゃが」は外せないだろうと踏んでやってきてくださったのでした。

 

なるほど。

 

世の男性諸氏の「家庭料理」の概念には、「肉じゃが」がしっかり根付いているということでしょうか。意外なような、当然のような、何か腑に落ちないような、そんな気がしたものでした。

 

作る立場から言うと、「肉じゃが」はそれほど魅力的な料理ではありません。当たり前過ぎてつまらないのです。もちろん「当たり前のものを美味しく作るのは難しい」という考え方はあるでしょう。でも、やはり「腕をふるって」作る、というお料理ではないような気がします。

 

そんな肩肘の張らないところも、しかし「肉じゃが」の大きな魅力には違いありません。「極上の」とか、「高級な」とか、どんなお料理にも冠せられそうな言葉が、これほど似合わない料理もないでしょう。

 

ところで、一口に「肉じゃが」と言っても、味も中身も実にさまざまです。関東では豚肉を使うことが多いのですが、関西では牛肉。そして牛肉を使えばしらたきが必ずつきもののように入っています。関東の肉じゃがは、一般的にはタマネギや人参も一緒に煮込んであります。私自身も、じゃがいも、豚の細切れ、タマネギ、人参、と言ったラインナップの肉じゃがで育ってきましたし、実際にそういう肉じゃがを作ることがほとんどです。

 

でも、場合によってはちょっと変わった肉じゃがを作ることもあります。ひき肉を使ってみたり、豚バラを使ってみたり。今日は豚バラ肉を使ってシンプルな肉じゃがを作りました。タマネギも人参も入らず、じゃがいもと豚バラ肉のみの肉じゃがです。

 

豚バラ肉は、ちょっと多めの塩とお酒で下味をつけたあと、一度茹でこぼしてから煮込んであります。こうすると、余分な脂が落ちて肉の甘味が引き立つのです。煮込むときはやや強火の中火で手早く火を通します。じゃがいもに竹串がすっと刺さるようになったらすぐに火を止め、あとは自然に冷まします。食べるときに再度温めて器に盛り付ければ出来上がり。じゃがいもにも味がしっかりしみとおり、とても美味しい肉じゃがに仕上がりました。

 

今宵の「くりや」の隠れたごちそうです。あの日「肉じゃが」を所望した紳士がもう一度訪れてくれたら、などと夢想しながら、みなさまのご来店をお待ちしております。

 

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